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スイス 氷河特急脱線事故について

 2010年7月23日(金)の正午すぎ、スイス南部バレー州フィーシュで登山列車として知られる「氷河特急(Glacier Express)」が列車脱線事故を起こしました。この事故で電気機関車1両、客車5両のうち、後部に連結されていた3両の客車が脱線し、横倒しになり、日本人観光客1人が死亡し、少なくとも38人が重軽傷を負っています。

 この事故でお亡くなりになられた方とご遺族の方々に謹んで哀悼の意を表します。そして、負傷された方々には一日も早いご回復を心より祈念申し上げます。

 事故の原因はいまだ不明です。州警察によると、事故現場がゆるい上りの緩やかなカーブだったということ、列車は時速30キロ台の低速で運行していたことが明らかにされており、そのほかの運行に問題は見つかっていないとのことです。ただし、これまでの報道を総合しますと、現場付近では30度を超す暑さが続いていたので、暑さでレールが張り出したことで軌道に大幅な狂いが生じて脱線したようにも思えます。

 鉄道ジャーナリスト梅原淳師匠が事故現場の写真で検証したところでは、25mあるいは50m先に存在するはずの継目が見えないため、ロングレール(200m以上の長さのレール)が敷設されている可能性が高いとのことです。気温が高くなると、ロングレールは定尺レールと比べ、大きな力で伸びようとします。今後、事故当時の現場の気温やレールの状況といった調査の進展が注目されます。

 列車やレールの老朽化、人為ミスなどが重なって事故が起きたとも考えられます。レールが張り出すほどの異常な状態ではないものの、軌道の狂いと車両の動揺とが複合されて生じた競合脱線の可能性も捨て切れません。現場の状況とアルミニウム合金製の車体をもつ客車という条件などから、いまから10年前の2000年3月28日に発生した帝都高速度交通営団日比谷線中目黒駅構内で発生した列車脱線衝突事故が思い起こされます。この事故は軌道狂いが生じていた急曲線を、左右の輪重比のバランスを著しく欠いた電車が走行したことで発生しました。

 現地では、事故の究明や負傷者に対する治療が懸命に行われております。被害がこれ以上広がらないことを切に願います。

2010年7月25日 史絵.


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